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本日の演目【蟻の門渡り関所越え】

 

   時は元禄、はや文月。濱の生まれの抜け作が、どうしても深川のお不動さまへお参りに行きたいと駄々をこねております。ところがどっこい、流行り病の煽りを受けて、何でも品川宿の手前に関所が設けられ、大江戸八百八町へはお出入り禁止になったとか。「こりゃいけねぇ」。そこで抜け作、幼なじみの唐変木と、ない知恵絞って何やら一計を案じております。

唐変木「何とか、うめぇ具合に関所を通り抜けてぇもんだな」

抜け作「そうだ! 薬売りに化けようじゃねえか。病に効くとなりゃあ、お上のお目こぼしもあろうってぇもんだ」

唐変木「そいつぁいい!」

   早速、ふたりは道端に生えた草っぱを片っ端からもいでは煎じ、妙な臭いがする丸薬もどきを作ります。塩味が足らなきゃ、「鼻くそでも混ぜておけ」ってなもんです。

   準備万端整えたふたりは、いざ噂のお奉行様の御前へ。

安倍奉行「おぬしら何故に江戸へまいるか」

抜け作「へぇ。わしらは富山の薬売りでござんす。お江戸は流行り病でてぇへんっだって耳にしやしてね。少しでもお役に立てればと」

安倍奉行「ほほう。それは殊勝な心がけ。拙者もちょいと熱があるからして、ひとつ試してみよう」

唐変木「ひえっ! そ、そ、それは…」

安倍奉行「何だ? 何か問題でもあると申すか?」

抜け作「いえいえ。どうぞ、どうぞお試しあれ」

安倍奉行「ん? ちいと塩辛いのぉ。が、なかなか効き目はありそうじゃ」

抜け作「あ、ありがとうございまする〜」

   とまぁ、うまい具合に関所をすり抜けられるかと思いきや突然、安倍奉行の腹がぐるぐると鳴り出した。そりゃもう、手当たり次第に雑草を煎じただけの代物です。からだにいいはずはない。

安倍奉行「おぬしら、計りやがったな! こ、これには何が入っておる!」

唐変木「何って、おいらも知りゃしませんよ」

安倍奉行「な、な、何だと! きさまら!」

   怒り心頭に発した安倍奉行は、おもむろに片肌を脱いだ。

安倍奉行「おうおう、きさまら。舐めた真似をしやがって。この桜吹雪にたわわな蜜柑、きび団子もあれば麻雀牌も、それにぃ…ええい面倒だ。あれやこれやまるっと合わせて目に入らぬかぁ!」

唐変木「ありゃりゃ〜。墨を入れ過ぎちまって真っ黒黒助だぁ〜」

抜け作「いけねぇ。本物のゴト師(GO TO)に当たっちまったようだ」

 

おうっと。おあとがよろしいようで。

 

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