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MLBの残り試合数も僅かとなり、MVPの行方を占う声が巷間かまびすしい。大谷翔平選手は果たして2年連続の栄誉に浴することが出来るのか? 結論から云えば、今期ア・リーグのMVPはニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手でほぼ決まりでしょう。

 

ジャッジ選手の本塁打数は現時点で60本。独走態勢を維持し、同じくヤンキースに所属していたロジャー・マリス選手が1961年(昭和36年)に打ち立てたア・リーグの年間最多本塁打記録まであと1本と迫っています。

この「61」はMLBにとって、因縁のある数字です。両リーグを通じた年間最多本塁打記録はバリー・ボンズ選手 (サンフランシスコ・ジャイアンツ) が2001年(平成13年)に叩き出した73本ですが、彼にはマリス選手を超えるシーズン本塁打数を記録したマーク・マグワイア選手 (70本 セントルイス・カージナルス)、サミー・ソーサ選手 (66本 シカゴ・カブス) と共に、禁止薬物 (アナボリックステロイド) の使用疑惑がかけられたことから、そのとてつもない記録もベースボール・ファンからは”灰色”と見做されています (3名は未だ米野球殿堂入り表彰を受けてはいません)。そのため、MLBとしてはジャッジ選手に是非とも74本以上かっ飛ばしてもらい、すっきりしたいところなのですが、少なくとも”クリーン”な記録更新はMLBにとって数字以上の重みがあります。

 

加えて、ジャッジ選手は三冠王達成の可能性が極めて高い。MLBにおける直近の三冠王はミゲル・カブレラ選手 (デトロイト・タイガース) で2012年(平成24年)。その前ともなると1967年(昭和42年)のカール・ヤストレムスキー選手 (ボストン・レッドソックス) まで遡らなければならない大記録です。ジャッジ選手が62本以上の本塁打を打ち、三冠王を獲得すれば、満場一致でMVPに選出されることはまず間違いないでしょう。

 

ミゲル・カブレラ選手と塁上で談笑する大谷選手。

 

僅かながら大谷選手にチャンスがあるとすれば、ジャッジ選手とのダブル受賞です。過去にはたった一度だけ、1979年(昭和54年) にナ・リーグにおいてキース・ヘルナンデス選手 (セントルイス・カージナルス) とウィリー・スタージェル選手 (ピッツバーグ・パイレーツ) が選ばれたケースがあります。

しかしながらそのためには、大谷選手が規定打席数と規定投球回数 (あと9イニング) の両方をクリアするという前人未踏の快挙が最低条件となります。さらには打者として、(素人は本塁打数にこだわりますが) 2年連続の打点100超え (現在93)、塁打300超え (現在291) 安打数 150超え (現在149) をトリプルで達成することが求められます。こうなれば、投手としての驚異的な活躍と併せて票が割れる可能性は十分にあります。

 

但し、通常はワールドシリーズ進出、少なくとも地区優勝におけるチームに対する貢献度が記者投票には影響を与えるため、すでに地区優勝を逃しているロサンゼルス・エンゼルス所属の大谷選手は不利な立場にあると云わざるを得ません。

とは云え毎年、”不可能”を”可能”にして来た大谷選手です。来年こそは日本人選手初の2回目となるMVP受賞をやってのけるでしょう (激烈な競争を勝ち抜いて来たメジャーリーガーたちでさえ、複数回受賞者はこれまでに32名しかいません)。ハッケヨイヨイ ノコッタ ノコッタ♪

 

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